序
わたしは東城[1]の蕭斎[2]に幽居し、客が来て揮麈[3]する際、しばしば非有の偶説を聴き、その新奇なものはすぐにそれを記した。盛夏に当たり、炎熱に苦しみ、竹壚[4]に茶が熟すれば、松陰の石床で試し、書巻を広げて一見すれば、黒甜魔[5]を三舎避けさせられ、涼風は衣を吹き、頭上に太陽があることを知らない。事は客が述べたものが多いので、『客譚』というという。
最終更新日:2018年3月28日
[1]原文同じ。未詳。仁和城の東か。
[2]http://www.zdic.net/c/7/d4/204482.htm自らの屋舎に対する謙称。弊寓、寒舎。
[4]http://cd.hwxnet.com/view/mmhegonmodnipbgl.html外枠を竹で編み﹑内に小鉢を置き﹑炭火を盛り、暖を取る用具。