第五齣 告借

【小蓬莱】(浄が登場)巨万の財を持ちたれば、名は皇州に広まりぬ。ただ愁ふ白首(はくしゆ)にて時光(おいさき)の短きを。惜しむべし風流(いろごと)の少なきを。

肥馬軽裘はもとより得たり[1]。一生花を買ふ銭を惜しむことなし[2]。東君は方便を施したまはず[3]。人はいまだに円かならねど月ははやくも円かなり[4]

わたしは姓は張、名は敏、字は好学といい、封丘に住んでおり、名は一郡に知れわたっている。富は陶朱に並ぶに堪え、(はかりごと)は黄石にさえ劣らない[5]。佳人を見ればすぐ邪な心を起こし、美人に遇えば面識の有無(あるなし)は顧みない。ただ、女房は従わないので、心は鬱鬱としている。いつの日、思いを遂げられるやら。その時は香を焚き、仏を拝することにしよう。話していると、女房がもうやってきた。

(老旦が登場)

【前腔】造物はすでに久しく按排したまひたれども、人の世は空しく機謀を設けたるなり。老いたることはすでに知れども、子孫のなきを思ふことなく、すみやかに回心をすることもなし。

(見える仕草)員外どの。「前世の因を知らんと(ほり)せば、今生受くるものがそれなり。後世の因を知らんと(ほり)せば、今生為せるものがそれなり[6]。」。あなたは今は千万の蔵を持ち、(ぞく)は腐り、(かん)は朽ち[7]、毎日労労碌碌として、謀略をほしいままになさっています。今は半百(いそじ)でございますのに、子供もいませぬ。善行を修めずに、いつなさるのです。

(浄)女房よ。財貨田地は人を煩わす物なのだ。わたしは巨万の財産を持っている。謀略を用いぬわけにはゆかぬのだ。善行を修めろと言うが、修められぬぞ。

【八声甘州】(老旦)財貨はあれど、とりあへず人に貸しひとまず管理させたまへかし。かれらに守らせたまへかし。

あなたは富豪だと仰いますが、古人をあなたに喩えてお話しいたしましょう。

石崇は富豪なりき。

(浄)老王戎に牙籌を取らせず[8]

(浄)かれはわたしに及ぶまい。

古き桑田(くはた)の海に変はりしこともあり[9]。いかでかつねに富豪たるべき。君に勧めん。すみやかに回心せよかし[10]

【前腔】(浄)かやうにひどく憂ふることは必要なし。金持ちは謀略を用ゐるべきなり。今の時世は、善良と温柔は役には立たず。今日酒あれば今日酔ひて、明日愁へが来ば明日愁ふべし。かれに勧めん。とりあへず心を開き大いに飲みて歌へかし。

【前腔】(老旦)やめよかし。北邙山[11]に古墓は多きも、そはことごとく昔日の英雄ぞかし。(しやう)を奪ひて侯を争ひたりしかど、江山のみが昔のままにて、前人の田は、後人が収めたるなり。(嘆く仕草)孤身旦夕(なんぴと)か老いを送らん[12]。両鬢は瀟瀟として今すでに秋。じつくりと考へよかし。謀略をほしいままにするなかれ。

【前腔】(浄)児孫は天の定めたるもの。身を修むると修めざるとに関はりはなし。今、天道は、子孫の有無に関はりたまはず。竇十カは五子あれどつひに死し[13]、ケ伯道[14]は子はなかれども名を留めたり。おまへに勧めん。無駄な言葉を説くなかれ。

張千を呼べ。

(末が登場)

(浄)西荘で銀子を借りているものは、水牢に閉じ込めろ。東荘へおまえを行かせ、銀子を取り立てさせたのだが、また取り立ててこないのか。おまえはまったく仕事ができんな。ほかに返さないものがいれば、火牢へ送り、油も搾り取ってやる[15]。(旦が登場)

【賞宮花】家は貧しく身寄りなく、夫と(つま)があるのみぞ。堤を築く役所の仕事は厳しきものにして、払ふお金は不足せり。人に頼まば大丈夫(ますらを)にしぞ頼むべき。人を救はば急時の無をぞ救ふべき[16]

閨門で生長したので、路を知らない。一路尋ねてくれば、こちらはもう張員外の家の入り口。どなたかいらっしゃいますか。

(末)ご婦人はどちらから来られましたか。

(旦)奥さまにお会いしたいのです。お取り次ぎください。

(末)員外さま。ご婦人がおもてにいて、奥さまに会おうとしています。

(浄)顔立ちはどうだ。

(末)顔立ちは美しゅうございます。

(浄)わたしが自分でゆくとしよう。

(老旦が尋ねる仕草。浄)女房よ。女がおもてにおまえを訪ねてきた。おまえにお金を返すのだろう。

(老旦)わたしは人に貸すお金などございませぬ。わたしがかれを見にゆきましょう。

(浄)わたしがかれを見にゆこう。

(老旦)「男のもとには男が行くもの。女のもとには女が伴うもの[17]。」でございます。どうしてあなたが行くのです。

(見える仕草。浄老旦)中にお掛けください。奥さまはどちらの家のご家族で。こちらへ何をしに来られました。

(旦)裏の周羽の妻でございます。

(浄)周維翰さんの奥さまでしたか。わたしはどうしてお顔を存じていないのでしょう。

(旦)わたしは貧に甘んじ、道を守り、みだりに閨門を出ようとしませぬ。そのために富豪長者を存じていないのでございます。

(浄)本日こちらに来られましたのは何のご用で。

(旦)亭主は役所の仕事を仰せつかりましたが、費用が不足しておりますので、わざわざお宅にきて二錠のお金をお借りしようとしているのです。証文がこちらにございます。奥さま。お収めください。

(浄)幾らお借りになります。

(旦)二錠だけお願いします。

(浄)幾錠か余計に借りても構いませんよ。

(老旦)二錠だけを求めているのに、どうして多く貸そうとなさる。

(浄)女房よ。元本があればたくさん利息が生まれる。銀子を取ってきてくれ。

(老旦)員外さま。周の奥さんがこちらにいらっしゃいます。すこし慎重になさいまし。騒いではいけません。わたしが銀子を取ってきましょう。

(退場。浄が仕草をする。老旦が登場)員外さま。銀子はこちらにございます。

(浄)わたしがかれに与えよう。

(老旦)やはりわたしが与えましょう。周の奥さん。銀子はこちらにございます。お収めください。

(浄)周の奥さん。利息はすこしもいりません。

(旦)員外さま、奥さま、上座にお着きください。わたしは拝謝いたしましょう。

【剔銀燈】思ふにわたしは運悪し。やむにやまれず借金を申し込みたり。大徳を蒙りたれば深く感謝す。事がをはらば恩債を償還すべけん。

(合唱)役所の仕事はお金が掛かるものなれば、お金を得なば夫の件は解決すべし。

【前腔】(浄)奥さまがみづから来たまふ必要はなし。お金がご入り用ならばわたくしが貸したてまつらん。これよりは利息を愛さじ。倉卒にしておもてなしする物なきを恥づ。(前腔を合唱)

【前腔】(老旦)この佳人は禍胎なるにや。かれ[18]は瘋狂顛怪となる。

(浄)周の奥さんをお引き留めしてお食事をしていただこう。

(老旦)かれの夫は(かね)を得て解決するを望みたり。心に掛かる事あればなどやはかれを留むべき。(前腔を合唱)

(旦)お金を得ればすぐに夫を救ひにゆかん。(浄)さらにお金を求むる時はわたしを尋ねたまへかし。
(旦)
人に頼まば大金持ちに頼むべし。(老)人を救はば急時の無をぞ救ふべき。

(老旦が退場。浄が弔場する。)細心に花を植うるも活くることなく、無心に柳を挿せば陰をぞなせるなる[19]。(老旦がひそかに登場。聴く仕草[20])周維翰の女房はたいへんな美貌で、銀子を借りにきた。証文も見ないで、二錠の銀子を貸してやった。ひとまず証文を見よう。どのように書いてあるやら。(読む仕草。笑う仕草)これはいい。この証文には空欄があったのか。まさにわたしの計略に嵌ったぞ。かれをものにするのは簡単だ。幾十錠、幾百錠多く書き込むのも簡単だ。かれが金を返さないなら、あの女房はわたしのものだ。

(老旦が退場。内で叫ぶ仕草。浄)来たな。

(証文を落として退場。老旦が登場)疚しきことは平素の福を損なひつくさん。行ひ悪しくば天はなんぢを一生貧しからしめん。(証文を拾う仕草)これは周維翰の証文だ。員外はさきほど、空欄のある証文だ、多めに書き込み、かれの女房を償いにさせようと言っていた。これは天理に許されないこと。ひとまず隠そう。

(身を曲げて坐する仕草。浄が登場)あちらへ行け。捜し物がある。

(老旦)何をお探しです。

(浄)冗談はやめろ。こちらにあった。

(老旦)員外さま。周羽秀才は、やむにやまれず、奥さんにあなたを尋ねさせ、銀二錠を借りさせました。あなたはどうして証文に空欄があるのを見、良くない心を起こし、証文に虚偽の記載をし、良民の妻を償いにさせようとなさるのです。この事は絶対にしてはなりませぬ。呂紀公と唐太宗の故事はお聞きでございましょう。呂紀公は劉職の妻を奪おうとしたために、劉職は発憤自殺し、亡国を招きました。唐太宗は鄭仁基[21]の娘を取ろうとしましたが、その娘がすでに陸爽[22]と婚約していることを聞き、深く自らを責めました。万乗の君でさえ、このようにしたのです。あなたは庶民でありながら、なぜ証文に偽りの記載をし、人妻を奪おうとするのです。いかなる道理でございましょう。

(浄)わたしにもしもそのような心があるなら、この世でははやく死ぬことだろう。

(老旦)

【川鮑老】平生疚しき事をなさずば、世上に切歯する人はなかるべし。おんみには子孫はなければ、陰隲を損なふなかれ。かれら夫婦をいかでかは二つに裂くべき。夫と妻が相寄らば、誰か百夜(ももよ)の恩なかるべき。思ふべし。人の心は所詮は同じものなるぞ。子孫を害することなかれ[23]

【前腔】(浄)わづか一人も招き得ず、十二金釵は何者ぞ[24]。富翁なら、(なんぴと)か紅粉を貪らざるべき。かの容貌は喜ばしきもの。かれが来ば、おまへとは無論尊卑を分かつべし。かれが子供を生むを得ば、子孫を添ふべし。

【四時花】(老旦)秦楼の(ひと)、楚館の人を娶りたまはば、わたしも文句を言はざることに甘んぜん[25]。かのひとがお金を借れば、君に従ひ償はしめん[26]。考へよかし。あなたがこちらで証文に偽りを書き込めば、かれはあちらでまことに恐れ戦けり。嬉しげに結婚せんとしたまへど、夫と妻の分かるるを見るに忍びず。おんみは富めども不仁にて、心腸(こころ)はいとも悪しきなり。

聞きでしょう。石崇は商賈を劫掠し、三斛の明珠を緑珠に換えましたが、その後、その緑珠のために、

金谷園は榛荊に変はりにき。

【四時花】(浄)心腸(こころ)は小さく、見識は深からず。大したことはなかるべし。万語千言があらんとも、ひたすら聴かず。詳しく論ぜん。おまへはこちらでぷんぷんと怒りたれども、わたしは心中うきうきと結婚せんとしたるなり。古の賢き妻も夫に従ひたるぞかし。

自慢するわけではないが、

かならずや緑窓の女をわが家へ到らしむべし。

(老旦)員外さまは良心に背きたまへど上に天あり。

(浄)女房よ。われをな怨みそ。

(老旦)しかと示すは平川の路[27]。忠言を悪言となすなかれ。

(退場。浄)こら、まだ行かないか。(仕草をする)これぞまさしく、「物を見て取らずんば、千里に失ふ[28]。」。おしまいにするわけにはゆかない。また張千を呼び出してきて相談しよう。張千はどこだ。

(末が登場)簇簇[29]と花街は遠く、潭潭と華屋は深し。たちまちに呼ぶ声を聞く。耳を傾け清音を聴く。員外さま、何のご用でございましょう。

(浄)一つおまえに言うことがある。漏らしてはならぬ。

(末)漏らそうとはいたしませぬ。

(浄)張千。裏の周維翰の女房がわたしにお金を借りにきた。顔立ちはとても美しかった。一枚の空欄のある証文を持ってきたが、金額を書き込まないで、そのまま行ってしまった。わたしは今から多めに書き込もうと思う。かれは絶対に返せず、女房はわたしのものになるだろう。良いと思うか。

(末)よろしいでしょう。員外さまは幾ら書き込まれます。

(浄)一千錠と書き込もう。

(末)多すぎます。

(浄)五百錠と書き込もう。

(末)やはり多うございます。二十錠と書き込めば十分でございます。

(浄)少なすぎる。

(末)元本と同じ利息で四十錠になりまする。

(浄)明日取り立てにゆけ。

(末)期日に達していませぬ。どうして取り立てにゆけましょう。

(浄)期日に達していないなら、明日かれの家へ行き、こう言え。南荘に借金を取り立てにゆくときに、家の入り口を通りました、員外がご亭主の先日の訴訟はどうなりましたかと尋ねていますと。かれが金を借りたことを話したら、かれに言え。お金は一日はやく返せば一日分の利息を免れましょうと。かれに言え。どのような田地家屋をお持ちでしょうか、どのような宝飾品、装身具をお持ちでしょうか、員外はどちらも欲しいと思っていますと。二つともないときは、さらに踏みこみ、員外の家にはたくさんの空き部屋があるから、員外の家に引っ越して住みなさい、先生は員外の帳簿を管理し、奥さんは奥でひとまず質草になるのが良いでしょうと言い、かれがどう言うかを見ろ。

(末)あのひとのところへ行きましたら、やんわりと言いましょう。

【好姐姐】(浄)いと好もしき周家の美妻。わたしは心にかれの嬌媚を貪れり。証文に空欄あれば、わたしの罠に落ちしなり。

(合唱)手を打たん。万丈の深潭の計を施すことなくば、驪龍の頷下の珠を得じ。

【前腔】(末)女はまったく見識がなし。ただ貧窮に安んずる拙き計を求めたるのみ。明日銭を取りたつるとき、かのものに言葉を掛けん。(前腔を合唱)

取り立てと口利きはかれに頼れり[30]。佳人の美貌の優るればなり。
万丈の深潭の計を施すことなくば、驪龍の頷下の珠を得じ。

 

最終更新日:2008年1月2日

尋親記

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[1]原文「肥馬輕裘得自然。」。「肥馬輕裘」は肥えた馬と軽い毛皮のコート。贅沢品の代名詞。

[2]原文「一生不惜買花錢。」。「買花錢」は女遊びのための金。

[3]原文「東君不與行方便。」。「東君」のここでの意味が未詳。文脈からすれば正妻のように思われるが、そうした用例を知らない。

[4]原文「人未圓時月已圓。」。含意未詳。月は丸いが自分は妻と二人きりで一家団欒する楽しみがないということか。

[5]原文「富足堪並于陶朱。機謀不下于黄石。」。「陶朱」は越の范蠡、陶朱公と称して商業に従事し、巨富を成した。「黄石」は張良に六韜三略を授けたとされる黄石公。

[6]原文「要知前世因。今生受者是。欲知後世因。今生作者是。」。今していることは前生の果であり、後生の因であるということ。

[7]原文「粟陳貫朽」。「粟紅貫朽」とも。食糧や金銭が腐るほどあること。「貫」は銅銭を貫きとめる紐。『漢書』賈捐之伝「至孝武皇帝元狩六年、太倉之粟紅腐而不可食、都内之錢貫朽而不可挍。」。

[8]原文「也不讓他老王戎謾把牙籌。」。未詳。文脈からすれば「石崇は王戎よりも金持ちだ」という方向であろうが。「牙籌」は数を数えるための棒。王戎が利を好み、牙籌を用いていつも金の計算をしていたという話は、『晋書』に見える。『晋書』王戎伝「性好興利、廣收八方園田水碓、周遍天下。積實聚錢、不知紀極、毎自執牙籌、晝夜算計、恒若不足。」。

[9]原文「老桑田尚然曾變海」。長い時間の中では桑畑が海に変わることもあるということ。『神仙伝』麻姑「自説云、接侍以来、已見東海三為桑田、向到蓬莱水浅、浅于往者会時略半也、豈将復還為陵陸乎。」。

[10]この歌を唱っているのは老旦であろう。

[11]邙山。洛陽の北にある山。後漢から晋にかけての王侯の墓所。

[12]原文「孤身旦夕誰送老」。息子はなく老い先は短いのに、誰が老人を養ってくれよう。

[13]未詳。

[14]ケ攸のこと。晋、襄陵の人。戦乱の際、自分の子を棄てて甥を守ったことで有名。『晋書』巻九十に伝がある。

[15]原文「油也逼出他的來」。未詳。とりあえずこう訳す。

[16]原文「求人須求大丈夫。救人須救急時無。」。頼み事をするなら立派な人に頼むのが一番だ、人を救うなら旧時に必要なものを援助するのが一番だという趣旨の諺。

[17]原文「男有男行。女有女伴。」。未詳。とりあえずこう訳す。『荊釵記』にも見える。

[18]張員外を指す。

[19]原文「着意種花花不活。無心插柳柳成陰。」。丹誠こめてしたことがうまくゆかず、等閑にしていたことがうまくゆくことをいう諺。

[20]以下の台詞は老旦が聞いた内容。発話者は浄。

[21]『唐書』魏徴伝「鄭仁基息女美而才、皇后建請為充華、典冊具。或言許聘矣。徴諫曰、陛下處臺榭、則欲民有棟宇、食膏梁、則欲民有飽適、顧嬪御、則欲民有室家。今鄭已約昏、陛下取之、豈為人父母意。」帝痛自咎、即詔停冊。」。

[22]隋の人。『隋書』巻五十八に伝がある。

[23]原文「休折害子孫。」。「折害子孫」はここでは、悪事をなし、福徳を損ない、子供を授からないこと。

[24]原文「區區一個招不得。十二金釵是甚人。」。正妻が許さないので、一人の妾をとることもできない、十二人の美人を招くなど夢のまた夢ということであろう。「十二金釵」は金釵をつけた十二美人。白居易『酬思黯戯贈同用狂字』「鍾乳三千两、金釵十二行。妒他心似火、欺我鬢如霜。慰老資歌笑、銷愁仰酒漿。眼看狂不得、狂得且須狂。」。

[25]原文「你若娶秦樓女。楚館人。我也甘心不論。」。秦樓」「楚館」は妓館のこと。この句、「水商売の女を娶るのは構わない(が、人妻を奪うのは許さない。)」という趣旨。

[26]原文「若還他果少錢債。從君折准。」。「かれが借金しているのなら、あなたに償還させる(が、証文を改竄するのは許さない。)」という趣旨。

[27]原文「分明指與平川路」。平川は、平らな土地のこと。揚雄『幽州牧箴』「蕩蕩平川」の章樵注に「地勢平、則川陸皆平」とあり。同様の句が、『水滸伝』第六十一回にも見える。公明正大な道のことを指していよう。

[28]原文「正是見物不取。失之千里。」。「見物不取。失之千里。」は、目の前にあるものはすぐに手に入れておかないと、ふたたび目にすることは難しい。」という趣旨であろう。

[29]未詳。人が群がっているさまか。

[30]原文「索錢説合只憑伊」。」は張千を指す。

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